ハッピーサバイバル 地球で遊びながら、新しい地球へ
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「ハッピーサバイバル 地球で遊びながら、新しい地球へ」山納 銀之輔
要約と感想レビュー
借金から離婚・自殺から生還
著者は自給自足型の村を作ったり、作り方を教えているという。その自給自足型の村に行き着くまでの経緯がものすごいのです。20代のときに町の工務店として成功し、調子に乗っていたら、6000万円を持ち逃げされ、その借金から、離婚・自殺を図ったという。
死にきれず、30代のときには森で狩猟採集生活をはじめます。そうした中で、お金の必要ない自給自足型の村を作ろうと立ち上がるのです。そうして作った栃木の村は、東日本大震災の放射能漏れの影響で手放すしかなくなりました。42歳のときには、宮崎で村ごと乗っ取られるという事件もあったという。無一文になって、ホームレスになって、森の中での狩猟採集で生活していたというのです。
30歳の時、あまりにも苦しくて自ら命を断とうとした・・気づいたら宇宙に浮いていたんだよね(p124)
自給自足の村を作る
現在著者は、石垣島で自給自足の「絵本の村」を作っています。村の作り方は、十数人でグランピングテントを建てて、みんなでそこで寝泊まりしながら道路やウッドデッキを作って、開拓していくという。
「絵本の村」には2つのエリアがあり、一つ目のエリアは、レストランやカフェ、お店や温泉、ハーブや植物を育てる場所も併設している建物です。宿泊施設も作り、景色が観光名所となり、お金が自然と稼げる施設が作られます。
もう一つは、自給自足の暮らしができるエリアです。寝床を作り、井戸を掘って、貨幣がない暮らしができる場所です。石垣島で自給自足の村を作り始めたら、「ここ、僕の土地だよ?」と他の地主が出てきたり、農地だから勝手に使えないことがわかったり、右往するところがナマナマしいです。
「絵本の村」・・ウッドデッキを作って、井戸も掘って、シャワールームと脱衣所と洗濯機置き場も完備。みんなで貝殻を取ってきて飾ったり(p14)
エコビレッジビルダー養成講座
著者は自給自足の村を作るエコビレッジビルダー養成講座を開講しています。講座の内容は、1年間、住み込みで共同作業しながら、村の作り方を伝えるというものです。養成講座卒業時には、自分で開拓できる土地をプレゼントするという。
また、自分の森での狩猟採集生活のノウハウを伝える「洞窟サバイバル」も石垣島で教えているという。生きたまま生まれ変わることをテーマに自然界の中で生きる体験するのです。
著者がこうした講座の中で注意しているのは、12人以上集まると、嫉妬や承認欲求から派閥が生まれ、抵抗勢力や主導権争いに巻き込まれてしまう人が出てくるという。人が増えてくると、いろいろな人がもぐり込んできて、人間関係でトラブルになりやすいのです。
厄介なのは、40代50代だけが12人以上集まっている場合・・正義感を振りかざす人が、だいたい12人集まると、現れる(p63)
お金抜きでやりたいことをやる
お金ばかり考えている人に騙されてきた著者は、お金や人に対してトラウマがあるようです。その一方で、自殺したときの臨死体験から、宇宙の中の自分の魂という大きな世界観を持っているのです。
だから著者は、お金を抜きにして、やりたいことをやることを提唱しています。お金を抜きにすると、本当の自分のやりたいことが見えてくるという。つまり、お金がないと好きなことはできないのではなく、大好きな人や、好きなものは今、手に入るはずなのです。
著者のどん底だと思うのか、いろいろある人生を最高だと思うのか、それはとらえ方次第なんだとわかったという言葉が重く感じました。山納さん、良い本をありがとうございました。
引用
・俺自身は、明日死ぬかもしれないと思って生きているので、悪口を言われようが全然構わない(p44)
・俺がエコビレッジをつくるときは、100年後の世界を思い描いてつくります(p46)
・6人体制。それ以上になると、食べ物を集めるのが大変だから・・3人が家の柱を建てている間に、ほかの3人が魚を獲りに行くことができる(p78)
目次
1st stage 絵本の村
Chapter 1 村づくりの場所探し
Chapter 2 「絵本の村」づくりプロセス
Chapter 3 100年続くエコビレッジのつくり方
Chapter 4 村からはじまる、これからの世界
2nd stage 幸せな在り方
1.食] 生命エネルギーの強い食を
2.住宅環境・コミュニティ] なるべく大地に近い住まいがいい
3.自給自足] 自然界の法則「トーラス」
4.人間関係] 溜めないで自分から働いて満たす
5.仕事] お金を考えずにしたいことをする
6.お金・経済] お金との付き合い方が逆/紙ではなく人脈を大切に
7.健康] 健康は心から
8.生きがい] 幸せな世界をつくるためにはここから6年が勝負
9.生と死] 人間はつぶつぶでできている
10.新しい世界] 優しさの塊で存在する世界
著者経歴
山納銀之輔(さんのう ぎんのすけ)・・・エコビレッジビルダー/天然素材コンシェルジュ/古民家再生プロデューサー/村づくりコンサルタント/空間デザイナー/自給自足アドバイザー/グランドアーティスト/土壁トレーナーマスター/ストローベイルハウスビルダー/マッドブリックハウスビルダー/里山料理研究家/狩猟採集料理研究家。青年実業家から多額の借金を抱え、離婚・自殺未遂してまた立ち上がったのち転落。成功とドン底を3度も味わい、すべてを捨て、森で狩猟採集生活を続けた。持続型循環建築の村(エコビレッジ)づくりの第一人者。現在までに、スペインはプリエゴ、タイのチェンマイ、そしてミャンマー、タンザニアと世界各地で活動。また国内では、ワークショップや講演を展開している